こんにちは。Goro (@BioDr_goro) です。
先日,無事に学位を取得し,9年間お世話になった大学・大学院を卒業しました。
サークルに明け暮れていた学部時代は楽しかったですが,それ以上に研究室に配属されてからの6年間の方が充実していました。
「できないことができるようになる」「世界で自分しか知らない事実を目の当たりにする」ことが好きになれたので,ストレスがかかりながらも研究を続けられました。
この記事では研究室生活,特に博士課程に進学してからの3年を振り返ります。
そもそもなぜ博士課程に進学したか?
研究者として生きていくには,世界共通のパスポートである博士号を取得しておくべきだと思ったので進学しました。
修士課程へ進学した時点で,既に研究が楽しいと思っていました。
なので,研究を生業にできたら良いなぁと漠然と考えていました。
研究が楽しいと思えたのは,ポジティブなデータが出たときの刹那的な喜びが何ものにも代えがたかったからです。
ポジティブデータは麻薬と一緒ですね。
ネガティブデータは心の闇を助長させるのでクソです。
修士1年の冬までは修士卒で就職しようとしていましたが,
「民間企業でも研究をするのであれば,博士号は取得しておいた方が何かと便利である」
という民間企業で勤めている博士卒の先輩方のお話を聞いて,進学を決意しました。
博士号があることで享受できたメリットはまだ実感できていないので,今後の社会人生活が楽しみです。
博士進学に関して,当時の葛藤は過去の記事でまとめています。
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博士課程に進学して良かったか?
興味のある研究に時間を気にせず好きなだけ取り組めたので,充実した3年間でした。
- 同じ境遇の人が少ない
- いくら実験しても結果が出ない
- 民間で働いた場合と比較して経済的な制約がある
と苦しいことや辛いことは多かったですが,受けたストレスに比例して次の項目で述べるようなスキルや根性が培われました。
博士課程で得たものは何か?
学位取得を通して研究者として独り立ちするために必要最低限のスキルと根性が養われたので,後悔は全くありません。
その最低限のスキルとは,一言で言うと戦略的思考能力です。
具体的には「インプットした知識を総動員し,自ら設定した課題を解決に導く」能力です。
研究戦略を練る上で,
- 設定した課題は意義あるものか?
- 課題解決のためのアプローチは適切か?
- プランAが失敗したときのプランBを用意できるか?
- 競合ラボの研究内容と比較して優位な点はあるか?
ということを意識していました。
加えて,以下のような能力も身につけられました。
とたくさん挙げられます。
根性については,あるときは12時間くらいラボに籠ったり,あるときは土日も研究することで鍛えられました。
もっとスマートだったら時短できたのかもしれませんが…。
印象に残っていることは?
デンマーク工科大学への半年間の留学です。
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4テーマを同時に進めていたため (1つはお遊び程度),意味わからないくらい激務でしたが,その分成果や実験・解析技術を日本に持ち帰ることができました。
ビックジャーナルに論文を通すラボでの研究できた日々は本当に刺激的でした。
私は学部からずっと同じラボに所属しているため,外の空気を吸うことができたのも良かったです。
海外に出たからこそ身につけられたのは,現地人に積極的に働きかける度胸とサバイバル能力です。
日本と比較して,留学したラボでは「察する文化」がないため,自主的に動かなければ放置されます。
Guest Ph.D. studentという身分でしたが,お客様がいらしゃった,雰囲気はありません。
同じ博士学生,ポスドク,PI,テクニシャンといった方々とコミュニケーションした経験が財産になりました。
また英語に対する苦手意識が薄れました (英語ができるとは言っていない)。
気をつけたこと
心身共に健康体でいられるようにしました。
体が資本なので,健康よりも優先していいことはありません (短期的な無茶は仕方ありませんが)。
私は体を動かすことが好きなので,運動することでリフレッシュしていました。
ジムは基本的に週2回通っていました。また,バドミントンも週1–2回続けました。
研究室外のコミュニティーを作って,他愛もないことを話せる友人を持つことも重要です。
研究室という閉鎖的な空間と自宅で生活が完結してしまうと,逃げ場がなくなってしまいます。
最後に
苦労はたくさんありましたし,もう一度博士課程をやれと言われたら全力拒否します。
しかし,自分が選択した道は間違いではなく,博士課程を全うできたと思っています。
学位取得はスタート地点であり,これからが研究者として大事なキャリアなので,引き続き精進していきます。
指導教員,先輩,同期,後輩,留学先のラボメンバー,家族,これまで支えてくれた皆様に感謝いたします。