バイオ系博士学生のGoro (@BioDr_goro) です。
新着論文の集め方がわからない
研究をデザインする上で,文献調査は欠かせません。
新たな知見は,過去の発見や成果の上に成り立っているからです。
アウトプットの質を洗練させるためには,最新の研究動向をインプットしておく必要があります。
新着論文に目を通しておくことで,
- 世の中にはどんな課題が残されているのか,どこまで解決しているのか
- 競合研究室の動き
- 現在のトレンド
といった点を押さえることができます。
では,新着論文はどのようにキャッチアップすればいいのでしょうか?
PubMedやGoogle Scholar,Web of Science,Scopusといった論文検索サイトで,毎日検索をかけるのは面倒です。
この記事では,「RSSリーダー」というツールを用いて,自分の研究に関連する新着論文を集める方法を紹介します。
RSSリーダーを使うメリット
RSS (Rich Site Summary) とは,ウェブサイトの概要や更新情報を配信するためのデータフォーマットです。
RSSリーダーを利用することで,複数のウェブサイトの新着情報を1つに集約できるようになります。
つまり,自分がよく読んでいるジャーナルから発表された新着論文を一括管理できるようになります。
最も有名なRSSリーダーに,「feedly」が知られています。私も使っています。
このように,タイトル,ジャーナル名,何時間前に発表されたか,がトップページに表示されます。
RSSリーダー「feedly」の設定方法
1. 無料プランと有料プラン
個人で利用する場合は,無料プランで十分です。
無料プランでは,登録できるメディア (=ジャーナル) が100まで,分けられる項目は3つまでに制限されますが問題ないでしょう。
有料プランは3種類用意されており,登録メディア数を増やせたり,Power searchが使えたり,ミュートフィルターを使えたり,Slackと連携したり…
と徐々にできることが増えていきます。
RSSリーダーに集約された論文を対象に,キーワード検索をかけられる「Power search」は優秀ですが,私は Ctrl + F (Cmd + F) で代用しています (後術)。
※ブログ執筆時 (2020/6/20の機能)
2. アカウントの取得
feedlyのトップページにいきましょう。
「GET STANDARD FOR FREE」を押して次に進みましょう。
Google,Facebook,Twitter,Microsoft,Evernoteのアカウントのいずれかで登録できます。
これらのアカウントを持っていない場合は,新たにfeedlyのアカウントを取得します。
研究室内で共有アカウントを取得すれば,feedlyも共有できるようになるので便利です。
3. フィードの作成
必要であればフィード (項目) を設定しましょう。
私の場合は,ジャーナルから発表されている論文と,査読されていないプレプリントの2つのフィードを作成しています。
フィードは左側の「CREATE A FEED」から作成できます。
4. ジャーナルの登録
フィードにジャーナルを登録します。
ここでは,プレプリントサーバー「bioRxiv」のMicrobologyカテゴリーを例として登録します。
BioinfomaticsやGenomicsといったカテゴリーは検索でヒットしますが,Microbiologyは出てきません (世知辛い)。
このような場合,キーワードではなくRSSリンクを検索します。
ほとんどのジャーナルでは,RSSリンクを取得できるようになっています。
ジャーナルあるいはプレプリントサーバーのサイトを開き,Ctrl + F (Cmd + F) で「RSS」と検索してください。
「RSSリンクが表示されるページ」へのリンクがヒットするはずです。
bioRxivの場合,ウェブサイトからだとMicrobiologyカテゴリーのリンクが取得できます。
URLに表示されているのがRSSリンクです。
URLをコピーしましょう。
feedlyに戻り,コピーしたURLを検索ボックスにペーストします。
すると,bioRxivのMicrobologyが表示されます。
FOLLOWボタンを押せば,feedlyへの登録は完了です!
上記の要領で,普段読んでいるジャーナルを登録していきましょう。
論文のスクリーニング
feedlyに流れてくる新着論文の中から,自分の研究に関連がある論文や興味のある論文をピックアップします。
私は,
- タイトルが面白ければ要旨を読む
- 要旨が面白ければ図表セットとFigure legendを確認する
- 重要度が高いと判断したらPDFとしてダウンロードする
- 論文を斜め読みする
- 論文を精読する
タイトルを読むときすら面倒なときはCtrl + F (Cmd + F) でキーワードをサイト内検索し,ヒットした論文の要旨だけ確認しています。
前述した「Power search」の代わりです。
ただし,研究のトレンドが把握できるので,時間が許せば論文タイトルにも目を通すことをお勧めします。
feedlyの注意点
登録しているジャーナルの新着論文しかキャッチアップできないことです。
「普段はサイエンスよりの論文を読んでいるが,エンジニアリングよりのジャーナルから興味深い論文が発表された」
という場合は新着論文を見落としてしまいます。
feedlyに登録するジャーナルを増やせば解決できますが,そうすると論文タイトルをスクリーニングする手間が増えます。
そこで,私は以下の方法でfeedlyの穴を埋めています。
- Google Alertを設定する
- 競合研究室の博士学生,ポスドク,教授のTwitterアカウントをフォローする
- ResearchGate (研究者用SNS) で競合研究室の博士学生,ポスドク,教授のアカウントをフォローする
これらの具体的な方法に関しては,別の記事にまとめます。